キカガク プラットフォームブログ

株式会社キカガクのプラットフォームブログです。エンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャーなどが記事を書いています。

「生成AI時代によるユーザー体験の変化」から考察するキカガク Learningプロダクトの可能性

イントロダクション

キカガクのプロダクトデザイナーの松田です。普段はキカガク Learningやキカガク Careerの UI / UX デザインや UX リサーチを担当しています。

キカガク Learningは、AI・DX人材のための Python機械学習などの先端領域の基礎から応用まで学べる e ラーニングプラットフォームです。デザインチームは、キカガク Learning を含むプラットフォーム全体の体験をより使いやすいものにするため、プロダクト改善に従事しています。

今回は、進化を続ける AI が UI / UXデザインに与える影響について、「生成 AI 時代を勝ち抜く事業・組織の作り方」(梶谷 健人氏著)の第5章「生成AI技術によってユーザー体験の在り方はどのように変化するか」を参考にしながら、キカガク Learning の未来を考えてみたいと思います。

(参考書籍)「生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方」 梶谷 健人 氏(著)2024 / 2 / 15

「生成 AI 技術によってユーザー体験の在り方はどのように変化するか」

デザインの単位が user から you へ

「ユーザー体験」「ユーザー中心デザイン」「ユーザーインターフェース」などの言葉に現れている通り、基本的にサービスのデザインの対象を捉える単位は "ユーザー" である。

しかし私は、これから生成AI技術が発展し、それがサービスのインターフェースに取り入れられていく中で、デザインの対象を捉える解像度が従来の "ユーザー" から "個人" へと細分化されるのではないかと考えている。

(引用:「生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方 」– 梶谷健人氏– P.156

生成 AI 技術の進展により、デザインの対象が従来の「ユーザー」から「個人」へと細分化されると指摘しています。

AI の文脈理解能力が向上し、ユーザーの傾向を学習して、コンテンツやインターフェースを個別最適化できるようになります。

サービス提供側は「ユーザー」をまとまりとして捉えるのではなく、「あなた」としてサービスをデザインする意識が重要です。

生成 AI 時代の顧客体験構築の構造的変化

単位が " User " ではなく " You " となるデザインの難しいところは「全てをデザインしきれない」ことにある。

従来は全ての画面の体験と見た目をデザインしきることで、ユーザー体験をコントロールできた。まさに「神は細部に宿る」ともいわれるように、いかに各画面や機能にこだわりきるか、突き詰めるかが重要でもあったわけだ。

だが、生成AI時代に各個人ごとに異なる体験を提供する時代においては、細部にこだわるといった際の細部の意味合いは変化するだろう。

これは例えると、いわばプロダクトからユーザーに対して画一的なセルフサービスを提供していた状態から、プロダクトとユーザーの間に AI という中間的な "スタッフ" のような存在が入り込み、ユーザーの好みや要望に合わせてサービスを提供するようになる変化と捉えられる。 (引用:「生成 AI 時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方 」– 梶谷健人氏– P.158

生成 AI 時代において全てをデザインしきれないことがデザインの難しい点であると述べられています。

従来は全ての画面をデザインし、ユーザー体験をコントロールしていましたが、生成AI 時代には各個人ごとに異なる体験を提供するため、細部にこだわる意味合いが変わります。

AI が提供側と利用者の間に立ち、仲介的なスタッフとして機能することで、ユーザー体験は格段に向上します。 しかし、サービス提供者側からすると、ユーザー体験をコントロールすることが難しくなるという側面もあります。

【AIによるユーザー体験の未来 × 利用者のニーズ】掛け合わせて改善する

「個別最適化」「 AI の仲介的なサポート体験」がキーワードになることを受け、キカガク Learning に当てはめて AI と共に UI の改善案を考えてみました。

キカガク Learning の UI

手順:

  1. 「生成 AI 技術によってユーザー体験の在り方はどのように変化するか」の文章を学習
  2. キカガク Learning のユーザーリサーチのインサイト結果を学習
  3. ユーザーニーズと体験を掛け合わせて可能性の案を出力し、検証用ワイヤーを制作

結果的に、以下の案が出力されました。

パーソナライズされた教育体験の提供

  1. 個別学習プランの作成
  2. リアルタイムフィードバックとアダプティブテスト
  3. パーソナライズされたリソースの推薦 4.学習スタイルの分析と最適化
  4. パーソナライズされた目標設定とモチベーション管理

AIの仲介的なサポート体験を通して人の行動の可能性を広げる

  1. インタラクティブ AI チューター
  2. AI による学習パートナー
  3. 動的コンテンツ生成
  4. AI による学習プランの最適化
  5. AI ドリブンなコミュニティサポート

パーソナライズされた教育体験の提供は利用者の傾向を分析して、学習の道筋を示して次のアクションを促すような機能が提示されました。 人の行動の可能性を広げる点においては、AI ドリブンなコミュニティサポートといった他の利用者を意識し学習モチベーションを維持する案が得られました 。

メインの学習機能(動画・講義資料・テスト)と学習補助機能(お気に入り、目次等)の整備にあたり、上記の案も参考にしながら検証用ワイヤーを制作しました。

e ラーニング学習画面改善案制作時のイメージ

「目次、お気に入り、理解度、学習状況の視覚化と比較」といった学習補助機能に焦点を当て、学習の邪魔にならずに理解を促進させるような機能にすべく、利用者にインタビューして検証を進めています。

このプロセスを通して、自分の考えの範疇を超えて未来の想像をサポートしてくれる AI のメリットを受けながら、課題のフォーカスはつくり手が意思と共感を持って進めるようなバランスが有効的だと感じました。

最後に

書籍「生成AI時代を勝ち抜く事業・組織の作り方」では、AI がユーザーとサービスの関わり方を再定義し、ユーザー体験の在り方を大きく変えると述べています。

キカガク Learning においても、「自然に利用者の生活スタイルの一部になる学習環境」を提供することを目指して改善を進めていきます。 今後は長期的にどのように進化すべきかについても様々な手法で探っていきたいと思います。

デザイナー視点でも、AI の特性を理解しながら、人の行動の可能性をどれだけ考えられるかが重要だと思いました。 企業やサービスデザイナーは、AI への解像度を高めることで、ユーザー体験を向上させることが求められます。私自身ももっと AI への理解を深め、活用していきたいと考えています。

キカガクでは、プラットフォーム体験を向上させるため、共に AI とデザインについての知見を深め、プロダクト改善を推進する UI / UX デザイナー(プロダクトデザイナー)を募集しています。 少しでもご興味があれば、カジュアル面談からでも話を聞いてみませんか?

ぜひ以下 URL からご応募をお待ちしております。

プロダクトデザイナー

www.green-japan.com

コミュニケーションデザイナー

www.green-japan.com

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